コーディングの納品をGitで受ける——制作会社と協業しやすい外注コーダーの進め方
zipの手渡しではなく、ブランチとPR(変更を提案する仕組み)で差分が追える形で納品します。履歴が残り、レビューでき、巻き戻せて、複数人で触れる。制作会社と協業しやすい進め方を、実際のやり方でお伝えします。

外注したコーディングが、完成品を圧縮したzipで届く。ファイルを開くまで中身が分からず、どこがどう変わったのかも見えない。制作会社の側で少し直したくても、どこに手を入れれば安全か判断しづらい——そんな受け取り方に、心当たりはないでしょうか。
私は納品を、zipの手渡しではなくGitで受け渡す形にしています。Gitはコードの変更を1つずつ記録する仕組み(バージョン管理)で、ブランチとPR(プルリクエスト=変更をまとめて提案する仕組み)を使うと、何がどう変わったかが差分で見える状態で渡せます。この記事では、その進め方と、制作会社にとっての利点をお伝えします。

zipの手渡しで起きること
完成品をまとめて渡す方式は、一見シンプルです。ただ、受け取った側にはいくつか困りごとが残ります。
- 中身が見えない:開いて比較するまで、前回から何が変わったか分からない
- レビューしづらい:気になる箇所を指摘したくても、どこを見ればいいか特定に手間がかかる
- 戻せない:不具合が出たとき、前の状態へ手作業で退避しておくしかない
- 上書き事故:複数人が同じファイルを触ると、片方の変更が消えることがある
これらは「納品物が悪い」という話ではありません。渡し方が、差分やレビューを前提にしていないだけです。
ブランチ→PR→レビュー→マージで渡す
私が実際にやっている流れは、次のとおりです。特別なことはなく、開発現場で広く使われている進め方です。
- ブランチを切る:作業ごとに枝分かれさせ、本体(main)とは別で進めます。既存サイトを壊さずに触れます
- PRを出す:区切りがついたら「この変更を取り込みたい」と提案します。変更は差分として一覧になり、意図をコメントで添えられます
- レビューを受ける:制作会社側が差分を行単位で確認し、気になる点をその場に書き込めます。修正はやり取りしながら反映します
- マージする:合意できたら本体に取り込みます。取り込みの記録も残ります
GitHubなどのサービス上で、この一連が画面で完結します。デザインとディレクションは制作会社に残し、実装だけを外に出す分担とも相性が良い進め方です。実装の難所だけを切り出して任せたい場合の考え方は、実装の難所だけ外注する分担にも書いています。
Gitで受けると何が変わるか
渡し方をGitに変えるだけで、受け取った後の扱いやすさが変わります。

- 履歴が残る:いつ・誰が・どこを変えたかが記録され、後から追えます
- レビューできる:本体に取り込む前に、差分を見て確認・指摘ができます
- 巻き戻せる:問題が出たら、前の状態へすぐ戻せます。切り分けも早くなります
- 複数人で触れる:並行して作業しても、衝突を検知しながら安全に合流できます
自分のサイトも、コードはGitで管理し、ブログの記事や画像を含めた運用まで同じ流れで回しています。日々触っていて、履歴が残ることの安心感は大きいと感じています。
導入のハードルは高くない
Git前提の納品と聞くと、制作会社の側にも準備が要ると身構えるかもしれません。ただ、実際にはそこまで重くありません。
- リポジトリ(コードの置き場)は、既にお使いのGitHubなどに私が合わせます
- ブランチ名やPRの粒度、レビューの進め方は、御社の運用ルールに寄せます
- Gitに不慣れなメンバーがいても、差分の見方とマージの押し方だけ分かれば回ります
納品後に別の担当者が更新することを見据えるなら、コードそのものの書き方も大切になります。引き継ぎを前提にした書き方は引き継げるコードを書く外注先の選び方にまとめました。外注先の実力をコードから見極める観点はポートフォリオ確認6軸が参考になります。
まとめ
zipの手渡しは手軽ですが、受け取った後に「見えない・戻せない・触りづらい」が残りがちです。ブランチ→PR→レビュー→マージで渡せば、履歴が残り、確認でき、巻き戻せて、複数人でも安全に触れます。協業のしやすさは、成果物の質と同じくらい、制作会社にとって効いてくる部分だと考えています。
Git前提で受けてくれる外注コーダーを探している、あるいは今の納品をGitに変えたい——そんなときは、お問い合わせからお気軽にご相談ください。御社の運用に合わせた進め方をご提案します。
本記事は2026年7月時点の情報です。ツールやサービスの仕様は変わることがあるため、導入時は最新の状況をご確認ください。