WordPressの引っ越し、何をする? EmDashへ移る流れと準備をやさしく解説
WordPressからEmDashへの引っ越しで何をするのかを、家の引っ越しにたとえて5段階で解説。事前に用意する4つのもの、移るもの・作り直すもの、サイトが止まるか・検索順位は落ちるかまで、専門知識がなくてもわかるようにまとめました。

「WordPressから別の仕組みへの引っ越しをすすめられた。でも、引っ越しって具体的に何をするの?」。サイトを持つ会社の方から、こう聞かれることが増えました。専門用語の多い説明を読んでも、自分が何を用意すればいいのかが見えてこず、そこで止まってしまう方が多いと感じています。
結論から言うと、サイトの引っ越しは家の引っ越しとほぼ同じ順番で進みます。お客さん側でやることは、引っ越し前の「荷物の確認」がほとんどです。この記事を読むと、全体の流れと事前に用意するもの、引っ越しの後に変わることがわかります。
サイトの引っ越しは、家の引っ越しと同じ5段階で進む
WordPressからEmDashへの引っ越しは、荷物の確認から地図の更新を頼むところまで、5つの段階に分けると見通しが立ちます。
EmDashは、WordPressと同じように管理画面で記事を書いて公開できるCMS(ホームページの更新システム)です。PHPというプログラムを使わずに動く点がWordPressとの大きな違いです。EmDashそのものの紹介はEmDashとは何かをまとめた記事をご覧ください。この記事では、引っ越しの進め方だけに絞ります。

それぞれの段階で、だれが何をするかを表にしました。
家の引っ越し | サイトでやること | 主にやる人 |
|---|---|---|
荷物の確認 | ページ数・使っている機能・フォームの行き先を一覧にする | お客さんと制作側 |
新居の準備 | EmDashで新しいサイトの見た目と機能を作る | 制作側 |
荷物を運ぶ | 記事と画像を新しいサイトへ取り込む | 制作側 |
転送届 | 古いページの住所(URL)に来た人を新しいページへ案内する | 制作側 |
地図の更新を頼む | Googleに新しいページの一覧(サイトマップ)を送り、検索の様子を見守る | 制作側とお客さん |
新居ができあがるまで、今のWordPressサイトは普段どおり動かしておけます。家の引っ越しと違って、旧居に住みながら新居を建てられるのがサイトの引っ越しのいいところです。
引っ越す前に、お客さん側で用意しておく4つのもの
引っ越しの準備でお客さん側にお願いするのは、次の4つの確認です。どれも専門知識は要りません。
どれも、探して控えるだけ。
- WordPressの管理画面に、管理者としてログインできるか
- サーバーとドメインを、どこで契約しているか
- いま使っているプラグイン(追加機能)の一覧
- 問い合わせフォームのメールが、だれに届いているか
管理画面に管理者でログインできることを確かめる
記事を運び出すには、WordPressの管理画面から「引っ越し用のファイル」を書き出します。専門的にはWXRファイルと呼ばれるもので、記事や固定ページ、カテゴリなどがまとめて入ります(WordPress公式の説明)。書き出しは、通常は管理者だけが使える機能です。
確かめ方は簡単です。ログインした後、左のメニューの「ツール」の中に「エクスポート」があるかを見てください。前の制作会社しかパスワードを知らない、という状態がいちばん困ります。わからなければ、この段階で相談してください。
鍵がなければ、荷物は運び出せません。
サーバーとドメインの契約先を確かめる
サーバーはサイトの置き場所、ドメインは「〇〇.com」のような住所で、この2つは別々の会社と契約していることがよくあります。引っ越しても住所(ドメイン)はそのままで、最後にその住所で出迎える家を新しいサイトへ切り替えます。この切り替えはドメイン(またはDNS)の管理画面で行うので、そこに入れるかが大事です。毎月や毎年の請求メールを探すと、契約先がわかることが多いです。
いま使っているプラグインの一覧
プラグインは、WordPressに後から足した追加機能ですが、EmDashではWordPressのプラグインはそのまま動きません。管理画面の「プラグイン」を開き、一覧の画面を保存しておいてください。それぞれ「何のために入れたか」がわかれば、横にメモを添えてもらえると助かります。使っていないものは、引っ越しを機に手放せます。
フォーム・予約・bot対策のように用途がはっきりしているものほど、引っ越し先で何を作り直すかが早く決まるので、見積もりの精度も上がるでしょう。
問い合わせフォームの届け先を確かめる
フォームは引っ越しで作り直すものの代表なので、届け先のメールアドレスと、自動返信メールの文面を控えておきます。実際に自分で一度送ってみて、だれの受信箱に届くかを確かめるのが確実です。
4つをまとめると、次のチェック表になります。
用意するもの | 確かめ方 | なぜ要るか |
|---|---|---|
管理者のログイン | 「ツール」の中に「エクスポート」が見えるか | 記事を書き出すため |
サーバーとドメインの契約先 | 請求メールや契約の控えを探す | 最後に住所の行き先を新しいサイトへ切り替えるため |
プラグインの一覧 | 「プラグイン」画面を保存し、用途をメモ | 作り直す機能を決めるため |
フォームの行き先 | 自分で送ってみて届く先を確認 | 新しいフォームで同じ先へ届けるため |
移るもの・作り直すもの・置き換わるものを先に分けておく
引っ越しの見通しは、荷物を「運べるもの」「新しく作るもの」「別の作業に置き換わるもの」の3つに分けるのが近道です。

区分 | 具体的には | ひとこと |
|---|---|---|
移るもの | 記事、固定ページ、画像、カテゴリ、タグ、書いた人の情報 | 取り込みの機能で運べる |
条件つきで移るもの | メニュー、サイト名、SEOの設定値、コメント | WordPress側に書き出し用のプラグインを入れると運べる |
作り直すもの | デザイン、フォーム、予約や会員などの機能、特殊なブロックで組んだページ | 新しいサイトで作る |
設定し直すもの | アクセス解析のタグ、予約投稿や非公開記事の状態 | 引っ越し後に確認して入れ直す |
置き換わるもの | WordPress本体・プラグイン・PHPの更新 | EmDash本体と部品(npm依存)の更新に置き換わる |
運べるものの範囲は、EmDashのWordPressからの移行ガイドに書かれています。デザインは運べないので、新しく作るしかありません。今の見た目に寄せて作ることも、この機会に整え直すこともできます。
見た目は、荷物に入りません。
ページビルダー(ドラッグで組み立てるプラグイン)で作ったページは要注意です。取り込むと形が崩れたり、中身が空になったりすることがあるので、作り直す前提で見ておきます。
もうひとつ、引っ越しで手放すものがあります。WordPressでは、プラグインを入れれば機能を足せました。EmDashにもプラグインの仕組みはありますが、数はまだ少なく、今と同じものが見つからなければ作ることになります。WordPressの大きな強みなので、プラグインに頼っている機能が多いほど、引っ越しの手間は増えます。
引っ越し中、サイトは止まる? 検索順位は落ちる?
サイトは基本的に止めずに引っ越せるものです。検索順位は一時的に揺れることがありますが、転送届をきちんと出せば落ち込みは抑えられます。ポイントは3つです。
- 新しいサイトは別の場所で作るので、作業中も今のサイトは動いている
- 順位が揺れることはGoogleも認めている。決め手は転送の設定
- 順位が落ちやすいのは、条件が重なったとき
サイトは止めずに進められる
新しいサイトは、今のサイトとは別の場所で作って確かめ、最後に住所(ドメイン)はそのままで、行き先を新しいサイトへ切り替えます。切り替えた直後はしばらく、見る人や回線によって旧サイトが見えたり新サイトが見えたりするのが普通です。だからこそ、旧サイトは確認が済むまで残しておきます。しばらくは、二つの家が並びます。
順位は揺れることがある。決め手は転送届
Googleは、サイトの移転中は掲載順位が一時的に変動することがある、と公式に説明しています(URL の変更を伴うサイト移転)。同じページで、古いURLから新しいURLへの転送(301リダイレクト)はできるだけ長く残すよう勧めています。目安は1年以上です。利用者のためには期限を決めずに残すことも検討するよう書かれています。
ページの住所(URL)が変わるなら、旧住所ごとに新住所への転送届を出します。EmDashには、この転送を管理画面から設定できる画面があるのは助かる点です。あわせて、新しいページの一覧(サイトマップ)をGoogleに送るとよいです。ドメインそのものが変わる場合だけは、Search Consoleの「アドレス変更」でGoogleに住所変更を届け出ます。

順位が落ちやすいのは、条件が重なったとき
落ちやすいのは、URLが変わったのに転送を出していない場合です。ページをたくさん減らしたり、タイトルを大きく変えたりすると、さらに揺れやすくなります。逆に言えば、URLをできるだけ今と同じにして、内容を大きく変えなければ、影響は小さく抑えられます。リニューアル全般の注意点はリニューアルで検索順位を落とさないための記事に書きました。
URLが同じなら、転送届そのものが不要。
引っ越した後の暮らしは、ここが変わる
引っ越した後に変わるのは、更新の画面と、背後の手入れの量です。そこだけ押さえれば十分です。ポイントは3つです。
- 記事の更新は、管理画面で書いて公開する流れのまま
- PHPとWordPressの更新は、別の更新に置き換わる
- それでも残る作業はある
更新のしかたは、ほとんど変わらない
EmDashでも、管理画面にログインしてタイトルと本文を書き、公開ボタンを押す流れは同じです。このサイト(tsudzuri.com)もEmDashで動いていて、記事はこの画面から更新しています。この記事も、そうです。


PHPの更新作業は、別の更新に置き換わる
WordPressはPHPで動いているので、PHPに穴が見つかるとサーバー側の更新が必要になります。2026年10月に見つかったPHPの脆弱性は、WordPressやプラグインを更新しても直らないものでした。とはいえ、PHPを修正版に上げれば対処できます。多くのサーバー会社が順次対応中です。くわしくは「PHPに緊急の脆弱性2件(2026年10月)WordPressサイトで今日やること」にまとめています。
EmDashはPHPを使わないので、PHPの更新という作業そのものがなくなります。このサイトはCloudflareの上で動いていて、サーバーの機械の手入れもしていません。
それでも残る作業
手入れがゼロになるわけではありません。ここは誤解されやすい点です。EmDash本体やサイトの部品の更新は、形を変えて続き、このサイトでも部品の更新は手元で動作を確かめてから反映しています。更新をだれがどの頻度で行うかは、引っ越しの段階で決めておくと安心です。
更新の担当を決めずに引っ越すと、PHPの更新がなくなった分だけ安心してしまい、EmDash本体や部品の更新が放置されがちなので、頻度と担当者を切り替えの前に書き出しておきます。
よくある質問
引っ越さないほうがいいサイトはありますか
あります。会員登録・ネットショップ・予約など、機能の中心をプラグインが担っているサイトは、WordPressのままのほうが向いています。保守を頼んでいる会社があって更新が回っている場合や、社内にWordPressに慣れた担当がいる場合も、急いで引っ越す理由はありません。WordPressは情報も頼める会社も多く、長く安心して使えるCMSです。
EmDashに弱いところはありますか
あります。2026年に公開されたばかりの新しいCMSなので、日本語の情報や扱える制作会社がまだ少ないことと、WordPressほどプラグインがそろっていないことです。引っ越すかどうかは、こうした点も含めて決めるのがおすすめです。続けるか移るかの目安はWordPressを続けるか移るかの判断軸をまとめた記事に書いています。
記事が何百本あっても、運べますか
運べます。記事は一本ずつ手で入れ直す必要はありません。書き出したファイルをまとめて取り込みます。ただし画像の数が多いと時間がかかるので、本番の前に一度試しに取り込んで、抜けがないかを確かめるのが確実です。旧サイトにbot対策などのセキュリティ設定が入っていると取り込みが止まることがあるので、移行の間だけ設定を緩めてもらうこともあります。取り込みの細かな手順は、制作者向けのWordPressからEmDashへ移行する手順に書いています。
今のデザインのままにできますか
見た目を今のサイトに寄せて作ることはできます。ただ、WordPressのテーマ(デザインの型)はそのまま持っていけないので、新しく作り直すしかありません。どうせ作り直すなら、読みにくかった箇所やスマホでの見え方を整える機会にする方も多いです。
引っ越しの間に、記事を更新してもいいですか
新しいサイトを作っている間も、今のサイトの記事は更新でき、切り替えの直前にそれまでに増えた記事や直した記事を新しいサイトへ反映します。切り替えの前後数日だけは、更新を控えてもらうようお願いしています。
まとめ
サイトの引っ越しは、荷物の確認さえ済めば、残りの多くは制作側の仕事です。上のチェックリストが埋まっていれば、引っ越しの相談はかなり具体的に進められます。
綴(Tsudzuri)では、WordPressからEmDashへの引っ越しと、EmDash以外も含むPHPに頼らないCMSへの移行をお手伝いしています。「うちのサイトは何が運べて、何を作り直すのか」を一緒に確かめるところからでも大丈夫です。チェックリストが埋まっていなくても、わかるところだけでお問い合わせください。お手伝いの中身はWordPressからの移行支援の紹介にまとめています。
本記事は2026年10月時点の情報です。